普段使いにどうぞ。
このところ昼夜を問わずセミがちからの限り羽を擦り合わせています。 こんなに一生懸命だから短い命なのかとも思ってしまうのですが、セミと生まれたからにはやめられないのでしょうね。 セミさんがその一生を全うできるなら、この蒸し暑さも少しなら我慢できるというもの。少しですけれど。
そんなセミさんの対局を行くような、いたってマイペースな雰囲気の更紗職人さん。 右下の白黒の写真はイラン南西部の古代芸術都市、イスファハーンの工房での更紗づくりの一コマ。 (『イランを知るための65章 』 明石書店 より)
ペルシャ更紗の作り方をごく簡単にご紹介します。 まずは一枚の木綿の布に木彫りのスタンプを手で少しずつ押して繋げながら模様をつけていきます。この時、しっかり押さないと柄がはっきり出ないし、インクが多すぎると線がはみ出てしまうので、加減が難しそうです。 青系の場合は黒色の枠線と着色の青色の2色の染料を使います。最初に黒の枠線のスタンプを押したら、
次に青を着色するためのスタンプををもう1回押します。一つの模様のパターンごとにこれを繰り返します。
一つのパターンにつき2回押すので、5つの模様があれば10回スタンプを押します。
赤系の場合は黒色の枠線と赤色と黄色を着色するので一つの模様のパターンで計4回。同じく5つの模様があれば20回スタンプを押すわけです。
さらに赤系の方の布は染料の定着を良くするためにあらかじめレモンの皮の入った水に一晩つけておくのだそう。(いやー、何気に手が掛かってる‥) そして、スタンプを全て押したら再び洗って乾かして出来上がり。
ペルシャ更紗の始まりは紀元前だと言いますから、2000年以上も前から殆ど変わらない方法で作られてきたんです。 掛けている時間を考えるとコスパとっても悪そうですが、まあ、そのころだったら「コスパって何ですか〜」と言われそうな。
ちなみにこの木彫りの模様、工房によって違うのだそうです。多いのはペイズリー、唐草、糸杉、花などの植物柄ですが、動物や人物などの生き物の柄もあるようです。
そんな歴史と伝統がめっちゃ詰まったペルシャ更紗ですが、全く気取りのないお手頃価格が懐の広さを感じさせます。
(右の写真のものは約30×50㎝ ¥580税込)
30×30㎝のミニサイズ(¥440)から160×240㎝のシングルベットのカバーになるサイズ(¥5900)までと使用範囲が広いですし、洗濯機で洗えるところが普段使いにぴったりです。しかも、これ一枚で部屋の雰囲気が変わるので、急な来客の時にもソファやテーブルなど、気になる場所にさっと布を掛けてしまえば、「準備OK」。
そういえばこの間見えたお客様、この布を使ってスカートとノースリーブミニワンピースを作られてました。しかも、手縫いで!ほどよい厚みのコットン地のせいでしょうか、付かず離れずのシルエットでとっても良かったです。
フリンジも残して、それがまた可愛いんです。写真を撮るのを忘れてしまって本当に残念!