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時を刻む

July 27, 2018

ふと見つけた動画。  トルコのジーンズ工場らしいのです。 

https://www.youtube.com/watch?v=a7yqYqnOWvU

 

この裁断で縫っても履けるはずもなさそうなので、裁断加工のデモンストレーションか何かなのだろうと思いますが、煙(蒸気?)出しながらレーザーらしきもので布を引っかき、擦り、穴を開けるという加工にびっくりし、最後に炎で焼きながら裁断してしまう荒技には軽い衝撃を受けました。低価格のジーンズが出来る訳は人件費の安い国で作られているからだけではなく、このような加工技術の発達によるところも大きいのでしょうね。

 

ジーンズのこなれた感やヴィンテージ感を出すのにいろいろな加工があるようで、調べてみたらクラボウのHPに加工の説明が載っていました。(クラボウは日本で初めてデニム素材の量産技術を確立したそうです。)こちらは職人さんがひとつひとつ手作業で行っているようで、お値段は6~7万円とのこと。時間も人件費もかかることを考えればそうなんでしょうか。 

http://kurabo-denim.com/jp/news/detail.php?id=7

 

ジーンズが数万円するなんて、ただただ「凄い!」と思うばかりなのですが、本物のヴィンテージものは数百万で取引すると、以前テレビの番組で見たことがあります。開拓時代の幻のリーバイスやリーを探し回る専門のハンターもいるそうですから、こちらもびっくり。作業着として使っていたものですから殆どボロ裂みたいのもあるのですが、それを『採掘した金の鉱石を忍ばせていたポケットの擦り切れ感が素晴らしい!!」とかそのハンターさんは目を輝かせているんですね。 

ヴィンテージジーンスの魅力はそのような誰かが体験した本物の物語や歴史が擦り込まれているからなのでしょうか。長年使い込んでできた色落ちや擦り切れ、そしてそれらを直した跡からでさえも使っていた人の歴史やストーリーを思い巡らせ、実際に会うことはできないけれどもその時代に生きた人と時を共有し、憧れる。番組ではヴィーンテージジーンスのショップにはそんな物語を求めるコレクターさんが目をキラキラさせて(多分普段はそんな目はしない方々)店内を回る映像もありました。 

 

今、人は飛ぶように動き、どんどん早さを求め忙しく暮らしてばかりで、

しっかりと自分の物語を刻む時間が足りないのではないかと感じます。

そんな時、人のこころをジーンズの引っ掻きや色落ちの経過という時の刻みは少しばかり満たしてくれるのかもしれません。たとえ秒速でダメージ加工された数千円のジーンズにでも。

 

 

さて、当店で扱ってる絨毯やキリムは全て手織りですので、作る過程、使う過程でいろいろな気持ちや思いが自然と織り目に刻まれてます。それは新しいものも古いものも同じです。

更に新しい歴史を作るのか、それとも今までの歴史を引き継いで行くのか‥

どんな風に時を刻むのかはそれぞれで、それが手織りの絨毯やキリムの唯一無二たる所以です。

古いものはどの時代も憧れだったようです。ジーンスが発明されるよりも昔のヨーロッパではペルシャから来た絨毯やキリムが対象の一つとなり、なんと早くヴィンテージ感を出したくて馬車を絨毯の上に何度も引かせたそうです。馬車とは何とも悠長ですが、せっかちな人々は昔も今もいるのですね。

イランでは絨毯やキリムは何代にも渡って使い続けるのが当たり前で、人の足で踏むことによって少しずつ表面が柔らかく、艶が出てくることを知っています。そうやって自然に年を重ねた渋みや和らぎを湛えたものこそが本来のヴィンテージといえます。

当店のショップカード。写真に使ったキリムはイラン西部に暮らすロリ族のもので1950年代に織られたもの

 

 

店には遠いアジアの西の果て、イランからアジアの東の果てにやってきた数々の絨毯やキリムがあります。それらには「ここに辿りついた旅路」という唯一無二の歴史が更に刻まれました。 織った人は、まさか自分の織った絨毯が日本という異国に行くとは思っていなかったでしょうね。

それはキセキ(軌跡)でもありキセキ(奇跡)でもあるのです。

そんな気持ちでこのショップカードを作りました。 

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