キリムちょっぴり手直し中
入荷した商品の検品と手直し中です。
今日はイラン、ファールス地方のキリム。
ギャッベでおなじみのカシュガイ族が多く暮らしています。
昔は海だったところが隆起したという壮大なザクロス山脈の麓は寒暖の差が大きく、
それを利用して彼らは季節毎に羊とともに移動する遊牧生活を営んでいます。
彼らは自分たちが飼っている羊の毛でキリムや絨毯などの織物やテントを作ります。
羊の毛は道具こそ少し進化したものの今でも一匹一匹手刈りをし、
集められた毛をほぐしながら撚りをかけて糸にしていくのですが、
そんな昔ながらの方法ですので毛糸もとても野趣に富んだものになります。
また、太陽の光が強い乾燥した地域特有の強い色合いと織られる文様は、サソリや星や太陽など、一見するとアメリカ大陸の乾燥地帯で織られたものと間違えるほど似ているものがあり、不思議なつながりを感じだりもします。
この辺りで織られたものの多くは紀元前の遺跡ペレスポリスの玄関口として有名な古都シーラーズに集められ、
世界中のバイヤーが品定めをするのですが、特別なルートでその前に取引されるものもあります。
さて、今回我が店にやって来たシーラーズのキリムは少し色味の強いものが多くなりました。
これからの季節、家の中はもちろん、お庭やベランダ、それに玄関先でお使いいただいても良いですね。
今、毛糸の中に紛れ込んでいる草のかけらを取り除く作業中。
この草のかけら、運悪く先端の方に手を置いたりするとちょっぴりチクっとするんです。
まあ、これが余計な洗いをかけない羊の毛そのもの、つまり、工業的に精製されたものではないということの表れとも言えます。もちろん使っていくうちにすぐに取れてなくなるのですが、やはり痛いのは少し困るかな。
本来、特に西・中央アジアではキリムや絨毯は羊などの動物の毛で織られるものですが、
長年撫ぜたり踏んだりして毛糸の余計なケバケバも取れて少しずつ滑らかな手触りになっていきます。
古いキリムの大人びた味わいも魅力ですが、新品からスタートして共に年を重ねていくのもまた違った楽しさがあります。
ところで、こちらのお揃いの帽子をかぶっている4人の方達の使っているキリムも楽しい思い出が
いっぱい詰まっていそう。
移動中の休憩で紅茶を楽しんでいるご様子ですが、きっと幼馴染か兄弟だろうなぁ。
(写真集『Nomads of Iran』N.Kasraian & Z.Arshi より)
真ん中あたりにヤギか犬の子供らしきものも一緒です。楽しそうで見るたびにこちらもニンマリ。
追記:3月2日のブログの文章を誤って消してしまいました。
こんな時に限って別に保存をしておらず‥。
一応自分の忘備録として、残された写真のみ掲載させていただきます。
大変申し訳ありません。 3月30日